卒業論文の調査の傍らで九州ツーリング
卒論のために、長崎に二週間弱滞在しました。
私は大学では歴史の学科に属し、考古学について勉強してきた。
私の研究分野はいわゆる「キリシタン」の人々について・・・
近年、その方々が残したキリシタン墓地が次々と発見され、注目を集めており
私の研究は、そのお墓について調べながらキリシタンの歴史像を再考しようとするものです。
勿論研究はしっかり行いましたが・・・
その覚書を数回に分けて綴りたいと思います。
まずはその第一弾「長崎・外海」
外海の夕日は抜群に美しい・・・。 |
【今回の旅の行程】
まず卒論用の調査と並行して・・・👉長崎・外海(サンセットライン、軍艦島、グラバー園、稲佐山の夜景、大中尾棚田の火祭り、枯松神社祭など)
調査終了後・・・
👉外海〜阿蘇(阿蘇登山道路、大観峰など)
👉九重連山〜新門司(鍋ヶ滝、やまなみハイウェイ、平尾台)
【長崎・外海旅】
10日間以上も滞在した長崎・外海では、空き時間を見つけて主要な観光スポットをできるだけ回りました。3日間連続で調査をしたご褒美として翌日半日遊んだり・・・
調査を終えた夜には稲佐山の夜景や、棚田の火祭りを見に行ったりと・・・
研究のみならず遊びも充実していたかな〜。
総評すると、もちろん長崎も良いんだけれど、それよりも良かったのが外海。
本当に心癒される場所でした・・・。
・ちょっぴり質素だけど素敵な食文化
数々素敵なところがある。一言では言えないけれど、つまりはこの地をすっかり好きになってしまったということ。
人と景色と、雰囲気、文化と食と・・・
特に、キリシタンの人々の残してきたものが現代まで受け継がれている日本でも珍しいこの地域だからこそ、至る所に特有の雰囲気・情緒がある。
そんな外海で2週間弱も暮らしていたからか、今では懐かしさと郷愁に似た感情すら芽生える。
第二の故郷というそんな感覚。
また帰りたい!!
また帰りたい!!
そんな外海の良さを振り返りながら綴りたいと思います。
【旅の経緯】
ホンダの原付き『ジョルノ』くん
これで京都から大阪南港まで自走。
南港から新門司までフェリーに乗り、新門司から長崎まで自走しました!!
写真から分かるように荷物もすごく多くて、意外と過酷だった・・・。(笑)
しかし、自転車で10時間以上も連続で走ることのある私にとっては、原付での250kmの移動は思ったほど大変ではなかったです。
案外行けてしまうもの!笑
【外海】
今回の卒論調査。実は当時、よく大学の外に出て研究者の方々と親しくさせて頂いていたため
「長崎へ行って卒業論文のための調査をしたい!」と言っていたら、地元の郷土史家の先生のお家に間借りさせていただけることになった。
そして、その先生のお宅が外海にあったので、そこで10日間弱暮らすことになったのです。
温かく迎え入れてくれた松川夫妻は、私を自分の孫のように可愛がってくれた。
美味しいご飯、楽しい談笑、この地の歴史を教えてもらったり、時には調査のアドバイスをもらったりと・・・
本当に楽しい毎日でした。
さて、ここから写真とともに外海の良さを振り返ります。
・絶景道「サンセットライン」と夕日
まずは調査後に私が毎日楽しみにしていたこと。
それは、外海の素晴らしい夕日を見に行くことです。
特に「道の駅 夕陽が丘そとめ」から眺める夕日が素晴らしい・・・・。
特に「道の駅 夕陽が丘そとめ」から眺める夕日が素晴らしい・・・・。
長崎から佐世保そして平戸に至るこの海岸沿いの道はいわゆる「サンセットライン」と言われる名道。
アップダウンに富み、目まぐるしく景色を変えるこの道を楽しみながら、ふと海に目をやると見えてくる・・・
思わず、立ち止まって見入ってしまう外海ならではの癒される趣深い光景だ。
この夕日を見ていると明日も頑張ろうと意気込むと同時に、楽しい1日が終わってしまったという切ない思いになります。
この夕日を見ていると明日も頑張ろうと意気込むと同時に、楽しい1日が終わってしまったという切ない思いになります。
さきほど夕日を眺めていたのが、この写真の中央付近にある道の駅。
そこから徒歩10分ほど、城山公園の展望台へと上がると、一気に景色が広がる!
外海のアップダウンに富んだ「サンセットライン」と地形。
そして広大に広がる海。
この写真を見返すたびに、本当に外海は素晴らしいところだったと思い返します。
この地の良さが詰まった風景。
・幻想的な棚田の火祭り
続いて、すごく良かった行事が「大中尾の火祭り」
先ほど紹介した外海の美しい夕焼けを背景に、6000灯もの竹灯籠が光を放つ荘厳な光景。
中心には「棚田は宝 無限の力」という2016年のスローガン。
このスローガンには
「棚田があるおかげで外海の人々が一致団結して、こうした行事ができる。
つまり棚田が地域の原動力であり、宝でもある・・・。」
そういう思いが込められている気がしてなりません。
トワイライトから真っ暗になるにつれて、辺りはより幻想的になっていきます。
中心には「棚田は宝 無限の力」という2016年のスローガン。
このスローガンには
「棚田があるおかげで外海の人々が一致団結して、こうした行事ができる。
つまり棚田が地域の原動力であり、宝でもある・・・。」
そういう思いが込められている気がしてなりません。
この竹灯籠には、祭りの参加者みんなで一致団結して灯をともしていきます。
上のスローガンにぴったり!
トワイライトから真っ暗になるにつれて、辺りはより幻想的になっていきます。
そして、この光景の中でゲスト?地域の方なのかな?分からないが、音楽の演奏が行われます。
「もののけ姫」のテーマソングなどなど。
「もののけ姫」のテーマソングなどなど。
風景と演奏がマッチングしていて心地良い・・・。
この時間がいつまでも続いて欲しいと思うほど癒された時間でした。
棚田の火祭りは本当に良かったです!!
地域のお母さんたちが振舞ってくれる料理も最高でした!!
・キリシタン文化が根付く地、その昔と今
そして、外海の一番の良さは「キリシタンの文化」が残る地だということ。
遠藤周作の沈黙の舞台が、私が2週間弱滞在した外海の黒崎地区なのです。
写真に収まりきらないほど大きいこの岩は「祈りの岩」と伝承されている。
潜伏キリシタンの人々はこの場所で口頭伝承(オラショ)を行ったと伝わっています。
キリシタンの取り締まりが厳しいこの地では、文字で「自分がキリシタンです」という証拠を極力残さず、それでもしっかりとキリスト教が受け継がれていた・・・。
そんな場所にキリスト教徒でない現代人の私が訪ねるという
なんとも言えない不思議な感覚。笑
そして潜伏キリシタンの時代が終わり、カトリックの復教が始まる中で築かれた教会群も必見だ!
日本的な景色に中に、ふと異国情緒が香る。
そんな感じ!
さて、ひとえに、キリシタンの文化が根付いている地と言ったけれど、実は複雑だったりします。
話は長くなってしまいますが・・・笑
江戸から明治に入り、キリスト教が次第に公認されるようになる中で
江戸時代に潜伏キリシタンだった人々は
①仏教徒(江戸時代に表面上、仏教徒として振舞っていたこともあり、信徒組織の維持が難しくなったため仏教へ改宗)
②カトリック(本来の教義に沿ったキリスト教の正道へと回帰)
③隠れキリシタン(江戸時代からの自分たちの独自のスタイルを貫き、隠れ続けた人々)
へと分れてしまいます。
元々は同じ潜伏キリシタンでありながら、立場が分れてしまった三者。
ここには見えない心の壁があったそうです。(神父談)
しかし、それを取り払ったお祭りがある。
2000年から17年連続で行われてきている「枯松神社祭」だ!
世にも珍しい違う宗教同士が手を取り合って行うお祭り。
潜伏キリシタンにゆかりのある枯松神社に集まって
「今は立場は違うけれど、江戸時代までさかのぼれば、潜伏キリシタンという同じ立場。」
「元々は皆同じだったのだから仲良くしよう。伝えられてきたものを守っていこう!」
そんな想いで開かれている。
私の世話をしてくれていた郷土史家の松川先生が、この枯松神社祭の保存会の会長ということで、感謝の意味も込めて私もお手伝いさせていただいた。
キリシタンとは過去のものでなく、現在まで受け継がれ、新たな局面に立っている。
潜伏キリシタンからこの現代の枯松神社祭まで通時的に見てこそ、歴史というものの価値がある。
さて、次に、外海ではありふれているが面白い光景。
この地域の特有な風景「石積の景観」だ!
石垣から石壁、お墓に至るまであらゆるところに石積が使われている。
少し周りを歩くだけで見つけることができるものだが、こういう文化はとても珍しい。
どうもこの地には、結晶片岩という石材が多く採れるらしく、それを生活へ活用していたとのこと。
調査を進める中で分かってきたのですが、これが私の研究するキリシタン墓の変遷にも大きく関わってきて面白かったです。
また、カトリックが復活したのちに、この地で復教活動に励むドロ神父の影響が根強く残る。
ドロ神父が築いたとされる大平作業所跡 |
特に、彼が西洋式のレンガの積み方(平積技術)を持ち込んだことで、それが在地の石積文化と融合する。
文化的な観点から見ても極めて面白い地です。
この石積文化&キリシタン&お墓を結びつけたのが私の卒業論文になりました。
この地を訪れて、自らの目で見て調査・分析し、結論を導き出す!
この一連のプロセスは、刺激的で凄く充実していた時間のように思います。
さて、このドロ神父の影響は食べ物にも残っています。笑
右は「ドロさま素麺」と言う。
実は、このドロ神父。
カトリックの布教活動に加えて、この地の貧しい人々の暮らしを救うために産業の活性化も図りました。
そこでまず伝えたのが「素麺作り」なのです。
その味を、現在でも楽しむことができる!!(しかもたった300円以下でw
これは先ほど紹介した夕日のスポット「道の駅 夕陽が丘そとめ」で買うことができます!
実は、これを毎日お昼の食べるのが楽しみで仕方がなかったです(笑)
そして、ドロさまパスタもおすすめ!
大好きなジェノベーゼソースで♪
実は、この道の駅には「遠藤周作記念館」が併設されており、そこのカフェで美味しいパスタが食べられる。
市販よりモチモチした太麺がポイント!
本当に美味しいです。
ちなみに、道の駅にも豪華なランチバイキングがあります。
ご当地のものがいっぱい詰まったバイキングも満足度が高い!!
そして、お昼からお刺身を食べ放題という贅沢です。笑
そして、ご当地のお菓子の「かんころ餅」
これも食べ応えがあり、あの優しい味が忘れられない。
決して豪華なラインナップではないかもしれませんが、外海のご馳走の数々です。
どれもまたいつか食べたい!外海の素晴らしさを思い出させてくれます。
・外海の可愛い動物
最後に、外海のアイドルたち。
至る所でヤギが飼われているので、戯れに行く。
人懐っこくて、どんどん噛んでくるけど(笑)癒される時間です。
この子のいる場所も素敵だった。
眼下に広がる外海の海が素晴らしい・・・。
サンセットライン沿いにあることもあり、ここを通る時はよく立ち寄っていました。
本当に懐かしいなぁ〜・・・
そして、私が宿泊していた先生のお宅のご近所さんの犬&猫
彼らはとても仲良しです。笑
そして、このワンコの人懐っこさが可愛すぎた・・・!!
この地で暮らしていた11日間、本当に充実していました。
そして、述べてきたような外海の良さを沢山見つけることができました!
お世話になった方々には本当に感謝です。
特に私の研究調査をご支援頂いた松川夫妻には感謝してもしきれないです。
「今度またこの地を訪れよう!」と固く決心して、外海を後にします。
卒業論文の骨子はできて、あとはもう少し思考を巡らし、執筆するだけ!!
ここからようやく、2日間の九州ツーリングを開始します。
外海から阿蘇、そして九重連山を越えて日本三大カルストの一つ「平尾台」
そして新門司港のフェリーまで500km弱。
とても楽しい旅になりそうだ!
※九州ツーリング②は、卒論の調査と並行して行った長崎の記事になります!
阿蘇ツーリング以降は③で紹介します。
−続く−
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